諏訪湖のほとりに現れた奇想天外な「空飛ぶ泥船」

異空間から来た宇宙船か! アニメの世界から飛び出した乗り物か! そんな圧倒的な存在感を放ち空に浮かぶのは「空飛ぶ泥船」。実はコレ、有名建築家がつくった茶室なんです!! 長野県諏訪湖のほとり、諏訪大社に抱かれた丘陵地に、このような奇想天外な茶室が点在しているのです!

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丸いフォルムで諏訪の宙を浮遊する箱舟「空飛ぶ泥船」

 

地上3.5m、4本のワイヤーで吊るされ、空に浮かぶようにある「空飛ぶ泥船」。諏訪大社に抱かれた丘陵地に、民家や田畑に混じって突如その姿を現します。その光景は異様そのもの! まさに奇想天外!!

 

 

これが茶室というから驚きです。茅野市出身の建築家・藤森照信氏が設計・建築したものなのですが、個人的に茶室が欲しくなり所有している土地に設計・建築したというから、またビックリ!

 

 

土壁を思わす黄土色の壁面と銅板葺きの屋根、丸みを帯びたフォルムがなんともユニーク。窓や煙突だってしっかりあります。

 

 

茶室ということはもちろん内部に入ることができ、写真手前にあるはしごをかけて上ります。内部は約5.5平方メートル、3畳ほどの広さでテーブルや椅子が設けられ、バランスをとらないと微妙にゆらゆら揺れちゃいます!

 

 

大きな帽子のようにも見えてくる“泥船”。最初に見たときは奇抜そのものなのですが、周囲の畑や緑、背景に広がる八ヶ岳の山々などに目が慣れると、自然素材を使ったその風合いも手伝って、原始・自然の中に溶け込むような不思議なぬくもりを感じます。

 

世界で最も危険な茶室といわれる「高過庵」

 

「空飛ぶ泥船」の山側に、ツリーハウスのようにあるのは「高過庵(たかすぎあん)」。地上約6m。コレも茶室! 今にも倒れるんじゃないかと心配になるほど。

 

 

クリの木の上にちょこんと乗った「高過庵」は微妙なバランスを堅持!? アメリカのTime誌で「世界でもっとも危険な建物トップ10」にも選ばれています。

 

ココでお茶を点てるとは、ちょっと怖くて落ち着けないかもしれませんね!?

土の中に埋まるようにある「低過庵」

 

「高過庵」があれば「低過庵(ひくすぎあん」もあります。地中に埋まるようにあり、地上からは屋根しか見えないような造り。

 

 

竪穴式茶室とでもいうような姿をもっており、2段造りになった屋根の上部は横に水平スライド。青空を見上げながらお茶を楽しむこともできるのだとか。

 

 

「空飛ぶ泥船」「高過庵」「低過庵」、これらが“フジモリ茶室”と呼ばれる3部作。通常は外観のみ見学可能ですが、定期的に内部見学ができるガイドツアーも開催。かなりの競争率ですぐにいっぱいになってしまうので、興味のある方はお早めに。

 

藤本氏の処女作といえる神長官守矢史料館」

 

3つの茶室に加えて、藤森氏の処女作といえる1991年に建てられた「神長官守矢史料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)」も、すぐ近くにあります。

諏訪大社の御柱をオマージュさせる、屋根を突き抜ける4本の柱がファーサードを彩り、鉄平石の屋根やサワラの外壁など、自然素材を巧みに取り入れた建物は、存在感とともに、自然に溶け込むような昔懐かしい温かみをもっています。

 

 

諏訪大社上社の神長官という役職を務めた守矢家に伝わる、さまざまな史料を展示していますが、近世にシカの首が75頭も備えられた諏訪上社の神事である「御頭祭」に関する展示は圧巻。館内の壁面は、無数のシカやイノシシの頭で覆われています。

 

 

◆空飛ぶ泥船・高過庵・低過庵◆
【住所】長野県茅野市宮川
【営業時間】見学自由
【アクセス】JR「茅野駅」よりタクシーで約10分
【HP】空飛ぶ泥船・高過庵・低過庵

※2020年4月現在、新型コロナウイルス感染症対策のため営業時間やサービス体制などが通常と異なることがあります

[All Photos by (C)tawawa]

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